後半、あわただしく合唱団を結成し、ヒトラーから逃れて亡命していきますが、かえってこれが蛇足に見えてしまうくらいです。
ちょっと人間の感情を単純化したような描写もありますが、だからこそ温かく見守っていられます。
この物語では、いくつか素晴らしい台詞が登場します。

いちばん印象に残っているのはマリアが修道院に入るのを決心した瞬間です。アルプスで夕焼けを見て、思わず
「私に何ができますか？何をしたらいいんでしょう？」と叫ぶシーン。ちょっと鳥肌が立ってしまいました。
私自身、ことあるごとに思い起こされます。

また、「子どもは悪い大人を肥やしにして育ってゆく」という台詞、なんだかすごく、現実味に溢れていて、
頭から離れません。家族で見るものとして、これ以上のものはありません。世界名作劇場の中ではカトリやアンネット
とならんで大好きな作品です。
いつでも明るく。

実話であるサウンドオブミュージックのアニメ化。
原作とは子供達の構成が変わっているものの、「トラップ一家物語」としてひとつの作品に仕上げている。
子供達の心の変化、ゲオルク、マリアの変化、周りの環境の変化を的確に描いている。
世界名作劇場のなかでも屈指のデキである。